どうもキヨシロー(@RevoKiyo)です。いつもジャマイカから届く”ダンスホール”やアメリカから届く”ヒップホップ”に夢中になっているのだが、それら以外に、いま夢中になっている音楽がある。
【CITY POP】
という日本産の音楽だ。70年代~80年代に日本で流行した音楽である。
私はジャマイカから届く音楽に夢中になっているが、自分の音楽コミュニティの外に出ると、ジャマイカの音楽を聴いている人は皆無である。
ただ大ヒットとは言えないものの、世界の人口の割合で言うと少ないが、狭いニッチな層が、日本のCITY POPのレコードを探し、Youtubeで私たちの30年以上前に生まれた音楽にいま夢中になっているのだ。
今回は、このCITY POPを掘り下げてみたいと思う。
目次 ・CITY POPとは ・昨年一番聞かれた、日本の音楽 ・潤沢な制作費とバブル経済 ・なぜCITY POPが海外で火が点いたのか ・さいごに
・CITY POPとは
70年代後半から、80年代に流行したポップスミュージックである。
特徴としては、いわゆる”アンニュイ”な感じがするのだ。本腰を入れて歌っていないというか、倦怠感、気怠そうに、脱力氏ゆる~く歌っているのだ。(そうでない楽曲もあるのだが)
『これを都会的な洗練されたサウンド』なんて批評家は言うが、都会的だとかは私にはよくわからない。
有名なアーティストで言うと、山下達郎や松任谷由美の旧姓時代の荒井由美、”ルビーの指輪”の寺尾聰などが居る。
歌詞は恋愛やいわゆる、自然な現象 (海についてや季節など) について歌っている楽曲が多い。
海外のCITY POPの再評価と関連しているかは、わからないが、近年のヒップホップでも『Mumble Rap(マンブルラップ)』という気怠そうにきちんと発音しない楽曲が流行している。
もちろんケンドリックラマーのような、精巧な歌詞と力強く歌ういわゆるLyrical Rapper(リリカルラッパー)な方も居ますが。
話は逸れましたが、CITY POPとはこんな感じです。
※Plastic Loveが収録された、竹内まりやのジャケット
・昨年一番聞かれた、日本の音楽
残念ながら昨年の2018年に制作された、日本の楽曲が世界で大ヒットしたものはありませんでした。
もちろんRADWINMPSやONE OK ROCKやPerfumeなども世界で聞かれていますが、昨年の大きなヒットと呼べるものはありませんでした。
ただ30年前の楽曲だけが世界中で、聞かれました。この曲のみが、昨年の日本産の大ヒットと言えます。
竹内まりや『Plastic Love』です。
この曲は、CITY POPのアンセム的な存在でかなり特別な一曲です。
何度も消されたりはしてますが、現時点で上の動画でも2600万再生ですから、すごい数です。
Plastic Loveの動画の再生数を合わせると5000万は余裕で超えると思います。
コメント欄も、日本語では無く、外国語のコメントのほうが多数見受けられます。
・潤沢な制作費とバブル経済
CITY POPの黄金期は80年代です。この10年間で名曲が沢山生まれています。そしてこの時期と言えば、バブル真っ只中です。
日経平均株価を見てみますと、バブル崩壊寸前は1989年の年末最高値は38,957円まで値を上げました。
現在が21,685円ですから倍ほどです。こんな景気を日本人は体感したことは無かったでしょうから、国民も政府も楽観的で、このまま世界一の大国になるんだと誰もが信じたと思います。
そして、芸能やレコード会社も一曲一曲のプロモーションにかかっている金額は、相当なものだったと思います。
今でこそ、DTM(デスクトップミュージック)も出来て、PCのソフトで完結することもできますので、この頃と比べると安価に作成できます。
ただこの時期は、ギタリストやベーシスト、演奏者も腕利きの一流アーティストを集めて曲を制作していきます。
そして良い楽曲の影に、YMO(イエローマジックオーケストラ)の存在があります。坂本隆一、細野晴臣、高橋幸宏というアーティストです。
特に細野晴臣は、自身もこの年代に作品も作っておりますし、数々の楽曲に腕利きのベーシストとしてや編曲などでも参加しております。
※米レーベルより、日本のCITY POPの楽曲が収録されたアルバムが発売された。
・なぜCITY POPが海外で火が点いたのか
この辺は、私の考察も含まれていますので、ご容赦いただきたいのですが、音楽はその時代の世相や国の問題などを反映するものだと思っています。
いつも私の専門のジャマイカのダンスホールミュージックにおいては、暴力・金・セックス・マリファナなどの歌詞がよく登場し、というよりは、大多数を占めます。
これがもし、ジャマイカ自体が、仕事があり皆が貧困に苦しむことなく、政府が機能し、殺人なども無くなれば、どのようなダンスホールミュージックになるのだろうかと思うことがあります。
日本でも70年代前半はフォークソングが流行しました。元々、フォークソングとは”メッセージ性”や”反戦フォーク”などのいわゆる反抗的な音楽でありましたが、レコード会社が意図的に非メッセージ性の大衆に受ける、いわゆる売れ線の音楽へ変えていきました。
そのあと70年代後半から80年代の全盛期にこのCITY POPが生まれました。
このCITY POPがなぜ、海外に今受けているのかということですが、以前こんな記事を書きました。
いわゆる、”死”にフォーカスを当てた楽曲が若者に共感を呼び、軒並みトップを獲っています。
若者は”911のテロ”の影響なのか、SNSなのかはわかりませんが、総じて病んでいる音楽が多くあります。
これらと関連してなのか、日本産のCITY POPには”現実”を忘れさせてくれ、かつ非メッセージ性で恋愛や四季折々の季節や海などの自然を歌っていることに海外の一部には受けているのかと考えています。
それは世界の中で、日本がいち早く発展した80年代の経済発展により、非常に楽観的な視点での魅力が音楽に込められていると思っています。
もちろん言葉の壁はありますが、日本語という言語を、世界で唯一話せる民族が我々で、別世界から来たような音楽に魅力を感じているのかもしれません。
・さいごに
この日本産の”CITY POP”は、日本の言語で海外に出る可能性があると考えています。
という記事を書きましたが、世界のトレンドが、『アフロビーツ』『EDM』『トラップ』などのサウンドですが、日本語で世界に届けたいのであれば、アジア、東洋のかっこよさを前面に出すべきであると思っています。
欧州の方たちは、アジア・日本はクールだと思っていますので、現代版のアップデートした日本生まれの”CITY POP”を楽しみにしています。
自分でもプロデュースしてみたいな。
あとCITY POPのMIXをYoutubeにアップしました。
著作権の関係でブロックされた音源のみ削ったりしたので、少し荒削りですが、BGMに聞いてみてください。
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